物語

隠世の宿天神屋で始まる、新たな運命の物語

“あやかし”が見える女子大生・津場木 葵は、ある日突然、隠世《かくりよ》にある老舗宿〈天神屋〉へと攫われてしまう。

祖父が遺した莫大な借金。隠世で交わされていた“約束”。借金のカタとして迫られたのは、大旦那――鬼への“嫁入り”だった。

ところが葵は、その運命をはねのける。――働いて、返す。自分の力で。

借金を返済するため、天神屋のかたすみに食事処〈夕がお〉を開き、真心を込めたおもてなしで、あやかしたちの空腹と心を満たしていく。

ときには悩みながらも突き進み、葵は隠世の住人たちと絆を育む。

あの日交わした“約束”は、やがてかけがえのない〈居場所〉へと変わっていく。

南の地の宿〈折尾屋〉での試練を越え、〈夕がお〉へと帰ってきた葵。しかし、穏やかな日々は束の間――〈天神屋〉に、かつてない危機が迫っていた。

守りたい居場所がある。信じてくれる仲間がいる。

幾多の出会いと絆に育まれ ――物語は再び、動き出す。