9月27日(土)東京芸術センター 天空劇場(東京都足立区)にて、TVアニメ「かくりよの宿飯 弐」先行上映イベントが昼夜の2部制で開催されました。

当日は、10月1日からのTV放送開始に先駆けて、第1話と第2話の上映のほか、オープニング主題歌「とおりゃんせ」のミニライブや、メインキャストの東山奈央さん(津場木 葵役)、小西克幸さん(大旦那役)、土岐隼一さん(銀次役)によるトークショーと、限られた時間の中で盛りだくさんの内容が展開されました。

イベントは、第1話と第2話の先行上映からスタート!あやかしお宿の天神屋で食事処を営む日常が戻った矢先、夕がおに天神屋の仲居・お涼が大慌てで飛び込んできて……。7年ぶりの続編となった今作の上映後には、観客席から自然とあたたかな拍手が起こりました。

上映後、作品の世界にピッタリな衣装に身を包んだ東山さんが登場!オープニング主題歌「とおりゃんせ」を披露しました。観客の前でのパフォーマンス、フルサイズでの楽曲披露はこれが初めてとなり、和テイストのアッパーソングに会場中が一体となって盛り上がりました。

 

続いて、土岐さんがステージに登場。東山さんと小西さんを呼び入れて、トークパートが始まりました。トークパートでは『かくりよの宿飯』(以降『かくりよ』)にちなんで様々な料理のお品書きに見立てたテーマが昼と夜でそれぞれ展開されました。

 

昼の部の最初のテーマは「7年ぶりの一皿・再会」。2018年9月の放送終了から7年ぶりに帰ってきたTVアニメ第2期。「久しぶりに作品と再会し、自身や演じるキャラクターへの印象がどのように変化したのか」といったテーマでトークが繰り広げられました。

 

まず東山さんは、「キャラクターの変化というよりは、自分達が7年分の年を重ねたなと思いました。第1期の時は声優を始めて7年目の頃で、今が15年目なのでちょうどキャリアの折返しで『かくりよ』に出会ったんです。この7年で出来なかった事が出来るようになったりして、当時は葵みたいな強い女性を演じた事はなかったんですが、7年経って葵の強さに近づけたんじゃないかと思います」と、キャリアの歩みと役への向き合い方を語りました。

続いて、小西さんからは「前作の大旦那は葵を優しく見守る立場で止まっていたのが、第2期では1話からラブ度が凄く上がってるなと。これはこのままラブ度を上げたまま演じていいのか、前作に寄せたほうがいいのかを相談しながら演じました」と、キャラクターの関係性の進展について悩んだエピソードを披露。

これに対し、土岐さんからは「第2期の現場に入った時に『久しぶりですー』みたいな空気ではなく、こないだ会ったみたいな空気感でアフレコがスタートできたのが凄くいいなと。温かい空気感で収録を楽しめるんじゃないかなという感じがしました」と7年間のブランクを感じさせない現場の雰囲気が伝わるトークで場を和ませました。

続いては「おすすめの一皿・第一話を添えて」。先行上映された第1話からキャストの3人が選んだイチオシの1シーンが紹介されました。

土岐さんが選んだのは、葵が働く食事処・夕がおに届けられた豪華な食材のシーン。「『極赤牛』という第1期にも出てきた懐かしい言葉の響きと、食材がバッーと並んでいる様子が『かくりよ』らしいなあと思って挙げさせてもらいました」。

 

小西さんが選んだのも、やはり料理のシーン。「『かくりよ』と言ったら、やっぱりご飯。こんなに美味しそうなご飯を描ける人もなかなかいないと思う。収録現場でも『うわあ、お腹空いたなあ。これ食べたいなあ』という話をついついしてしまうんだよね」と本作ならではの料理の魅力を熱く語りました。

 

東山さんが選んだのは紅葉の中で佇む大旦那様のシーン。「このシーンを選んだ理由は、まず大旦那様の顔がいい」と語ると、会場からは思わず笑いと拍手が。さらに「秋から放送が始まるのが、食欲の秋でもあるし、私達が生きている季節と作品の季節が同じという、本当に作品にぴったりな素晴らしい時期に放送を始めてくれたなと思います」と語り、3人のイチオシのシーン紹介を締めくくりました。

 

トークパートの締めくくりは「これからの一皿・店主のおすすめ」と題して、第2期の見どころについて語られました。

 

まず小西さんは、「困っている人や悩んでいる人、色んなものを抱えている人に葵が寄り添ってあげるところが『かくりよ』って素敵だなあと思う。今回登場する人物達にも、葵と一緒に寄り添ってあげれるといいなあと思います」と、作品の持つ優しさについて語りました。

続いて東山さんは、「第2期でも葵に何度もピンチが訪れるのですが、私は深刻に受け止める演技をしてしまうんです。けれど、『この先にもっと受け止められない事が起きるので、今の演技は取っておいて』とディレクションを受けて……。葵が何を大事に思い、何に耐えられないのか。葵と改めて向かい合った第2期でした。皆さんも葵の立場ならどう思うのかも含めて見守ってほしいです」と、客席へメッセージを送りました。

最後に土岐さん「大旦那様と葵の関係性が変わっていく中で、銀次が何をどう感じるか。何気ない一言で銀次が不安に思ったり、それぞれのキャラクター達が新しい環境で、新しい表情を見せるのが第2期だと思っています。そんな姿を役者一同が全力で演じている様を楽しんでいただけたらと思います」と、熱い意気込みでトークを締めくくりました。

 

夜の部での「7年ぶりの一皿・時を超えて」では、「もし7年前の自分に声をかけられるとしたら、どんな事を伝えたいか?」というテーマでトーク。特に印象的だったのは、土岐さんの初々しいエピソードでした。

土岐さんは、これまで最初にオーディションを受けた役とは別の役で決まることが多かったが、初めて“受けた役そのもの”で合格できたのが銀次だったことを明かし、「右も左も分からない中で、東山さんや小西さん、アニメーションチームの皆さんにお世話になりました。僕にとって『かくりよ』は、ゼロをイチにしてくれた作品なんです」と、感謝の気持ちを語りました。

これに対し、東山さんが「土岐さん、飲み会でもずっと肩の力が入ってましたよね」と当時を振り返ると、小西さんも「そうなっちゃうよね。頑張らなきゃいけないと思っちゃうし、周りが大人ばっかりだから背伸びしなきゃいけないと思っちゃうよね」と共感。

土岐さんは、そんな緊張する飲み会の場で葵の祖父・津場木 史郎役の井上和彦さんが、隣の席でウインドサーフィンの写真を見せてくれて「すごく心が落ち着きました」と語り、東山さんの「ほっこりするー!」というコメントとともに、会場は和やかな笑いに包まれました。

 

「これからの一皿・夢語り」では、「これから先さらに7年の時があるとしたら、その間に『かくりよの宿飯』でひとつだけ実現できることがあるとしたら?」という、未来への夢が溢れるテーマでトーク。

まず口火を切った小西さんが「やらせてくれるなら(原作の)最後までやりたい」と答えると、会場からは大きな拍手が湧き起こりました。東山さんからは「7年と言わずに続編をやってほしい」、土岐さんは「7年の間に完結してほしい」と語るなど、キャスト全員の作品への思いが1つになりました。

 

土岐さんからは「今度発売になる原作小説最新13巻が本編終了後に現世へ社員旅行に行くという内容なので、アニメの本編が終わった後にもOVAとして制作してほしい」と夢を語りさらに「旅館で葵が考えた和食フルコースを食べながら朗読劇が楽しめる『ディナーショー朗読劇』」という、ファンなら絶対に行きたくなる豪華なイベントのアイディアまで登場!観客の胸を躍らせました。

小西さんからはもう1つ、「『夕がお』をお店として実際に作ってほしい。美味しいご飯が食べたい。あったかい気持ちになって帰りたい」と、物語がもっと身近になるような夢を語りました。

 

そして、東山さんは、「葵が作る料理はオムライスやカレーライスといった明確な名前がある料理よりも、オリジナリティのある小皿が中心の家庭料理っぽいものが多い。そういったリアルな日本の食卓が見えるところが海外でも評判が良いので、お料理本を出したい」と、海外のファンにも作品の魅力を届けるアイデアを披露。キャスト陣の尽きることのない作品愛と、未来への熱い期待が感じられる夢のあるコーナーを締めくくりました。

 

イベントの最後には、第2期の物語を表現したストーリービジュアルが初公開されました。

これからの展開を予感させる葵と大旦那様が描かれた新ビジュアルがスクリーンに映し出されると、観客と同じく初めて目にしたキャスト陣からも驚きの声が上がります。大きな拍手と熱気に包まれる中、イベントは温かな余韻を残して幕を閉じました。

TVアニメ「かくりよの宿飯 弐」は10月1日(水)よりTOKYO MX、AT-Xほかにて放送&配信中!
是非ご覧ください!